SENAの主力モデル 20S evoと、デイトナのハイエンド DT01を比較します。
20S evoは2013年に登場した20S無印のアンテナ形状を変更したバージョンで、基本的に中身は同じです。20S evoもDT01も音楽併用機能を搭載しBluetoothで接続する製品で近しい部分があるので、違いを明確にしていきます。
なお、本記事では20S evoは20Sと表記します。
目次
スペック比較
20S(evo) | DT-01 | |
---|---|---|
メーカー | SENA | デイトナ |
自動経路制御 | × | Bluetooth |
同時通話 | 8 ※1 | 4 |
通話距離 | 2000m | 1000m |
待受時間 | 240h | – |
通話時間 | 13h | 12h |
充電中の使用 | ○ | ○ |
Blutooth | 4.1 | 4.2 |
ノイズ除去 | ○ | ○ |
通話と音楽併用 | ○ | ○ |
全体音楽共有 | × | △ ※15 |
タンデム音楽共有 | ○ | ○ |
ペアリング記憶数 | 9 | 3 |
自動グループ通話 | ○ | ○ |
他社接続 | ○ | ○ |
A2DP 2台同時 | 自動切換 | 自動切換 |
FMラジオ | ○ | × |
自動音量調整 | ○ | × |
有線入力 | ○ | × |
社外スピーカー | ○ | × |
充電ポート | micro | Type-C |
音声案内 | 日本語 | 日本語 |
音声操作 | ○ | × |
防水性能 | ○ | ○IP67 |
スマホアプリ | ○ | × |
発売時期 | 2014年4月 | 2018年5月 |
実売価格 | 3.6万円 | 2.4万円 |
※1 20Sのみで構成した場合。他機種が混在した場合は4台
※15 ナビ音声の全体共有のみサポート
有意義な差がある部分で有利な方に赤のアンダーライン、両方にあって重要な機能に黄色のアンダーラインをひきました。なお、機能としてあまり重要でない部分は差があってもアンダーラインをひいておらず、次の項目でも紹介していません。
それではスペックからわかる違いを解説します。
自動経路制御はDT-01のみ
DT-01は近年のトレンドである自動経路制御を搭載しています。複数台を同時にペアリング、接続、脱落しても自動で最適な経路で接続してくれる機能で、あるととても便利です。一回使ったら手放せない機能なので、3台以上で接続する機会が多い人はDT-01をおすすめします。
2014年発売開始の20Sはさすがに自動経路制御を搭載していません。発売当時としては圧倒的な性能を誇っていましたが、自動経路制御が普及してきた現在においては少し厳しいですね。
最大接続台数は20S
20S系のみで構成した場合、最大8台接続をサポートする点はBluetooth接続製品においては群を抜いています。ただDT-01も公式外ではありますが、4台を自動経路制御で接続した上で、下位モデルイージートーク3を追加で2台、合計6台接続が可能なくらいに調整されています。
確かに20S系の8台接続はすごいのですが、現在は16台接続ができる自動経路制御のメッシュ搭載製品も出ているので、あまりアドバンテージではありません。
全体音楽共有機能はDT-01のみ
DT-01は音楽とまではいきませんが、ナビ音声程度であればAndroid端末限定でインカム通話にのせて全員に共有が可能です。とても便利な機能なので重要視したいポイントです。
20Sはこれに相当する機能は持ち合わせていません。自身に限定すれば音楽併用が可能なのでナビ音声を聴くことは可能です。ただ全体に共有することが重要なのでDT-01のほうが優れている部分となります。
音楽共有機能って必要?
僕個人としては必須の重要機能です。音楽共有は趣味があえばいいですが、合わない人にとっては拷問なので難しいところです。それよりナビ音声の共有のほうが有意義でしょう。先頭を交代したり、聞き逃しを防いだりとナビをしている人の負担が大幅に減るのが最大の利点です。また、普段は先導しないメンバーともルートの話題に参加できるので、みんなで走っている感が強くなりとても楽しいと思います。
通話距離は20S
実際の通話距離でも20Sはかなり長距離まで会話が可能です。市街地で車を何台もはさんで300m近い距離で通話が可能だったのは、20S系と10Sでの組み合わせのみで、他と比べると1.5倍はあります。
DT-01はそこまでではありませんが、十分一般的なハイエンド製品同等の通話距離です。市街地で200m、郊外で500mも通話できれば不便を感じるようなことはなく、概ねスペック上で1000m以上となっていればこの程度は通話ができます。
どちらも必要十分ですが、より長距離での通話を重視したい場合は20Sが有利になります。
他社接続性能は同等
どちらの製品も自社接続中にユニバーサルで1台他社を接続できます。柔軟性は比較的あるほうです。ただ、DT-01をHFP(ユニバーサルの受け側)にした場合は、接続不可のインカムが多いので注意が必要です。DT-01をユニバーサルにするのであれば問題ありません。
FMラジオは20Sのみ
FMラジオはそこそこ安定して受信できます。音楽番組とニュースが大半ですが、気分転換にはちょうど良い機能なのであって損はありません。
ただ最近はスマホアプリ(ラジコ等)で聞くこともできるので、DT-01でも特に問題はありません。
自動音量調整は20Sのみ
騒音にあわせて音量を調整する機能で、SENAの音量調整の動作はとても快適で使い勝手が良いです。走り出すと少しずつ自然な感じで音量が上がって、風切り音に負けないように聞こえます。
DT-01には搭載していません。無くても特に困るものではありませんが、SENAの自動音量調整が優秀なのでほしい機能だなとは思います。
音声操作は20Sのみだが使いにくい
SENAの音声操作はネイティブ英語しか聞き取ってくれないので、使い勝手がかなり悪いです。また振動が入るたびに音声コマンド入力モードとなってしまうのでかなり邪魔です。ネイティブ英語がしゃべれないなら設定から停止しておいた無難な機能です。
USB type-CはDT-01のみ
2017年頃より普及が始まったtype-Cコネクター。上下がなく差し込みやすい構造で、スマホでは既に主流となっています。DT-01はtype-Cなので今後さらにスマホがtype-Cとなっていくことを考えれば充電ケーブルの管理がしやすくていいと思います。
20SはmicroUSBなので不便というほどではないですが、どうせならtype-Cのほうが良いですね。
実際に使ってみての評価
20S evo | DT-01 | |
---|---|---|
音楽音質 | 7 | 9 |
通話音質 | 7 | 8 |
通話距離 | 9 | 未検証 |
安定性 | 10 | 未検証 |
他社接続柔軟性 | 6 | 6 |
操作性 | 8 | 6 |
機能/拡張性 | 6 | 9 |
取り付け | 4 | 7 |
重さ | 3 | 6 |
コスパ | 4 | 9 |
おすすめ度 | 6! | 9! |
※評価は10点満点です。
※DT01は実際に走行できていませんが、自宅周りで歩いて確認しています。
音楽の音質はDT-01
音質は似通ったところがありますが、DT-01のほうが低音が強く出るので迫力のある音が楽しめます。最大音量もほぼ同じくらいなので高速等で音量不足になることはまずありません。
僕の好みとしてはDT-01ですが、20Sでも不満が出ることはないでしょう。
安定性は20S
ファームアップデートを重ねてきた結果、20Sの安定性は抜群です。自動経路制御がないので切断された場合の再接続操作が面倒ですが、そもそも普通に走っていて切断されることはあまりありません。また、音楽併用等をしてもノイズがのるようなこともなく、快適に動作します。
DT-01は走行できていませんが、手元で試す限りは安定性は高いです。
操作性は20S
20Sはハードウェア的にはボタンが押しやすく、ソフトウェア的には操作受け付けが早くてサクサクと動きます。長押し操作がやたらと時間が長く、同じような長押し操作が多いというのが欠点ですが、全体的には操作がしやすいです。
DT-01は改善版になって少しボタンが押しやすくなりましたが、あまり操作性がよくありません。ボタンが押しにくいのと長押し操作の受付タイミングが悪く、無駄な気を遣うことがあります。悪い!というほどではありませんが、20Sの快適な動作に比べるといまひとつです。
機能性はDT-01
どちらも音楽併用機能は備えているので十分ですが、DT-01は制限付きながらナビ音声をインカム通話にのせて全体に共有する機能を有しています。ナビ音声共有はとても便利なのでポイントは高いです。
20Sもいろいろ機能はありますが、いずれもすごく有用なものというわけではないので、総合的にはDT-01のほうが上です。
重さはDT-01
20Sは150g、DT-01は110gです。つけて走行してしまえば徐々に気にならなくはなりますが、20Sを取り付けた直後は左側だけがずっしりと重く感じます。ほとんどの製品が100g~120g程度なのと比べると150gは相当重いです。
クレードルの強度が高いのが重い原因なので、その重さも無駄ではないのですがちょっと重すぎですね。
コスパはDT-01の圧勝
20Sが発売された2014年当時は他社を圧倒する高機能、高性能、2万円台後半という手ごろな価格でコスパも良かったのですが、値上げもあって現在は3万円台中盤になっています。ファームアップである程度進化したとはいえ、最新のトレンド機能は備えていないことを考えるとコスパは悪くなっています。
DT-01は自動経路制御に音楽併用機能まで備えて2万円台前半というとんでもない価格です。コスパで対等なのは同社のイージートーク3と台湾のM1-Sくらいで、その他の製品と比べると頭3つくらい抜き出ています。
おすすめはDT-01
価格を考えなければ、安定性と通話距離が群を抜いている20Sと、自動経路制御とナビ音声共有機能が便利なDT-01で五分ですが、価格でDT-01が圧倒しているのでおすすめは断然DT-01です。特にこだわりがなければDT-01で良いと思います。
20Sはさすがに古くなりすぎました。いくら名機でも5年前から価格は下がらず(むしろ上昇)、コスパ的に厳しくなってきています。2万円台後半なら今でも十分な価格競争力なんですけど、惜しいですね。
SENA 20Sがおすすめな人
- 通話距離を重視
- 安定性を重視
- よく本体の操作をする
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DT01がおすすめな人
- 安くて高性能なインカムがほしい
- 3台以上の接続をよくする(自動経路制御機能が便利)
- ナビ音声の共有をしたい
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インカムの総合記事はこちらです。主要製品を比較、レビューしています。 [card url=https://bikede-go.com/blog-entry-166.html]
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