SENA 20sのレビュー
日本ではサインハウス(B+com)のシェアが大きいが、世界ではおそらくSENAがシェアNo1
SENAの特徴は防水/品質/性能はそれなりで安価、シェアを一番とれるポイントを突いたそこそこのメーカー。
という印象が強かったが、2014年7月発売のフラッグシップ SENA 20Sで一気に多機能高性能モデルへ変貌している。

そのSENAを劇的にかえた主力ハイエンドモデル、SENA20Sのレビューをする。


外観、付属品チェック


接続ケーブル類は本体で完結するB+comとは違い、SENAは本体と各種ケーブルが接続されるクランプキットが別になっている。
隣のSDカードはサイズ比較用。
大柄だけど本体は軽い。
SENA 20sの本体確認


インカム通話用のアンテナを取り出す。
SB5X程ではないがあんまり乱暴に扱うと折れそう。
本体には側面に大きなジョグダイヤルと、後方にPhoneボタンの二つのみ。
ジョグダイヤルはクリックと360度回転の2アクション。
大きくて操作しやすいが、ここまで大きくなくてもいいなw
半分くらいにして本体を小型化してほしいところ。
SENA 20sのアンテナは丈夫

SENA 20sのボタン操作



本体とは別にクランプキットに各種ケーブルが接続されるような仕組みになっている。
クレードルとスピーカーマイク



マイク、スピーカーの接続と、他に音楽入力用の2.5mmステレオミニプラグ、社外スピーカー接続用3.5mmステレオミニプラグ、外部音を拾うためのアンビエントモードボタン、本体取り外しボタンがついている。
それぞれの機能については別で紹介するが、あらゆる機能をカバーしているなぁ。
クレードルの各種ボタン

SENA 20sのクレードルと本体取り外しボタン



ヘルメットへのクランプキットは、背面のネジを付属の6角レンチで外してマイクをアーム式やワイヤー式に変更できる。
取り付けもこのネジを緩めてヘルメットの脇に挟むことになるが、挟み込めないヘルメット用に両面テープで取り付けるためのベースも付属する。
難点としてはヘルメットの付け替えに6角レンチが必要なことと、がっちりと挟むためなんだろうけど、鉄でできていて重いことだ。
クレードル取り付け方法

SENA 20sのクレードルとスピーカー、マイク接続方法



クランプキットに対し本体を上からスライドさせると取り付けできるようになっている。
付けたり外したりはスムーズで簡単だ。
SENA 20s 本体とクレードルのドッキング

P1070691.jpg



写真は本体以外の1セット分になる。
マイクは3種類と豪華。
フルフェイス用ワイヤーマイク、ジェット用のワイヤー+アームマイクと、クランプキットで直接支えるアームマイクの合計3つ。
もちろん、専用というわけではないので好みで3つとも使える。
他はスピーカー位置の調整用パッドや充電用USBアダプター、3.5mm⇔2.5mm変換ステレオケーブル。
シガーソケット(12v)のUSBアダプターはいらないんじゃないかなw
SENA 20s 付属品一式



ヘルメットへの取り付け


とりあえずアライのフルフェイス アストロTRに取り付けてみた。
さきほどのクランプのネジを外して、マイクを好みのものに変更。
画像はワイヤー+アームになっているが、この後ワイヤー式にしている。
SENA 20s クレードルをヘルメットへ取り付け



こんな感じでメットの端に挟みこんでネジを締めるだけ。
隙間がなければ両面テープ取り付け用キットに変更すればOKだ。
アライにはクリップタイプで簡単に取り付け可能



10年以上前のヘルメットなのでスピーカー取り付け用の窪みはない。
適当にチークパッドの耳のあたりをがっつり削って、適度に耳へ当たるように車の防音に使ったエプトシーラーを貼り付けた上にスピーカーを設置。
といってもB+com取り付け用に昔からやってることなんだけど。
スピーカーの位置は重要だけど一発で場所が決まるわけではない。
とりあえずチークパッドは削らず一回だいたいの位置で設置してみよう。
スピーカーをヘルメットへ埋め込む



次は右のスピーカー。
ケーブルの長いほうのスピーカーを後頭部あたりの内装の内側に入れて逆まで持ってくる。
こちらもチークパッドの耳のあたりに取り付け。
IMG_3282.jpg



マイクはチークパッドの前方に埋め込み。
いろいろ試した結果、口元だけど吐息も鼻息もあたらない場所としてここがベストだと思う。
SENA 20sのマイクを口元のチークパッドへ埋め込む



本体をドッキング。
他社と比べると一回り大きいな。

そして一番大事なスピーカー位置のチェックだ。
これをやらずして快適なインカムライフは送れない。
A2DPの接続設定は次の設定項目を見て欲しい。
A2DP接続をしたら音楽を流しながら、メットを上下左右にずらして均等に聞こえる位置を探る。
だいたいの場所が決まったら必要に応じてチークパッドを削り、最終的な位置決めをする。
スピーカーはマジックテープになっていて布には引っかかるが発泡スチロールにはひっかからないので、少しのでこぼこに対応できるクッション両面テープ等を使って固定しよう。
ガッチリ固定できなくても自然に落ちたりしない程度についていれば十分だ。
尚、最近のヘルメットはスピーカー取り付け用の窪みがあるので、痛くならなければ削ったりする必要はない。
SENA 20sをアライ アストロへ取り付け



クランプがヘルメットの下に大きく張り出しているので、地面に置くと左側が浮いてしまう。
ただクランプは頑丈なので特に気を遣う必要はないし、置いた時の安定性も悪くないので気にすることはない。
クレードルが地面にあたって少し浮いてしまう



操作方法


本体のジョグダイヤルとPhoneボタンの二つで操作することになるのだが、押す回数や時間によって操作がかわるため慣れが必要だ。
とりあえず代表的な操作だけ記載する。
操作してから反応するまで少し時間はかかるが、各種操作時には音声案内があるので落ち着いて操作しよう。
※音声案内は平行輸入品でも日本語化可能。


■電源on/off
  ジョグダイヤルとPhoneボタンを同時押し

■ボリューム
  ジョグダイヤルを回す

■ペアリング
 ・スマホ等のデバイスとのペアリング
  20S電源on Phoneボタン5秒長押しでLED赤青交互点滅
  スマホ/音楽プレイヤーでBluetooth検索し20Sを選択(PINコードを求められたら 0000)
  ※NFC対応なら20Sの背面にスマホを接触させるだけでOK
  このペアリングは電話(HFP)や音楽(A2DP)等、接続可能なプロファイル全てがペアリングされる。
  HFPやA2DPを個別にペアリング等もできるが、種類が多い上に操作が複雑なのであとは公式サイトを参照していただきたい。

 ・SENAインカム同士のペアリング
  2台のインカムを電源on 
  双方のジョグダイヤル6秒長押し 又は 双方をクランプユニットから外して本体を振ると、緑に点滅。
  どちらかのジョグダイヤルを1回押す
  ペアリング完了

 ・ユニバーサルインターコム(他社とのペアリング)
  2台の電源on
  20Sペアリングモード=ジョグダイヤル12秒押しで設定メニューに入る
  ユニバーサルインターコムまでダイヤルを回す
  対向機器をHFPペアリングモードにして接続
  ※HFPで接続するため電話機能が利用できなくなる。

■インカム通話開始/終了
  最後にペアリングしたインカムがペアリング1、その前にペアリングしたインカムがペアリング2 というようになり、最大9台までペアリングを記憶しておくことができる。
  ペアリング1へ接続、切断=ジョグダイヤルを1回押し
  ペアリング2へ接続、切断=ジョグダイヤルを2回押し
  ペアリング3以上へ接続=ジョグダイヤルを3回押してジョグダイヤルを回して選択
  ※上記要領で最大8台までのチェーン接続が可能

■音楽を聴く
  20S電源onと同時にペアリング済みのデバイスへ自動的に接続に行く。
  音楽の再生/停止=ジョグダイヤルを1秒押し
  曲の進む、戻る=ジョグダイヤルを押して回す
  停止したまま開始されない場合=ジョグダイヤルを押して回すと再生開始

■ミュージックシェアリング(音楽共有)
  20S間をA2DPでデータ転送し二人で同じ音楽を聴くことができる。
  ※ただし距離は10m程度なのでタンデムでの利用のみ。
  ※0.2秒くらいのラグがあるため二人で歌うとズレてやばいw
  インカム通話開始後にジョグダイヤル3秒長押し=音楽共有開始/停止

■FMラジオを聴く
  FMラジオモードに入る=Phoneボタンを2秒押し
  自動選曲=デバイスボタン押したまま回す
  プリセット選択=Phoneボタンを押す

■オーディオマルチタスク(インカム通話しながら音楽/ラジオを聴く)
  音楽/FMラジオを聴きながらインカム通話を開始するだけでOK
  インカム通話開始後でも音楽/FMラジオを切り替え可能

■アンビエントモード(クランプキット内のマイクから外音を拾う)
  アンビエントモードon/ff=アンビエントモードボタンを2回押し

■ボイスコマンド(音声で操作)
  ボイスコマンド受付1=スタンバイモード時に HelloSENA と言う
  ボイスコマンド受付2=本体を手のひらで2回タップ
  ボイスコマンド受付3=アンビエントボタンを1回押す

  可能な操作は、FMラジオ起動や次トラック/FM局、リダイヤル等だが、日本語英語ではなかなか通じないのが難点。

■設定モード
  ジョグダイヤルを12秒長押しで設定モードにし、ジョグダイヤルを回して各メニューに入る。


設定モードについてはわかりずらいので、本体で操作することはほとんど無いだろう。
かわりにスマホをペアリングしておけば、専用アプリから設定ができる。
また、アプリで複数会話用のグループ設定をしておけば複数同時接続が楽になる。


一通り操作してみて思ったのは、ジョグダイヤルとPhoneボタンの二つと簡略化されすぎて、何秒押したら、何回押したらという条件ばかりなので、覚えづらいということ。
せめて本体のボタンは3つ欲しかったと思う。
ただし機能が非常に多いが故の話なので、利用する機能に絞って覚えればそれほど苦労することはない。


オプション ハンドルバーリモコン


DSC02211.jpg
インカム本体の操作をグリップに取り付けたリモコンで操作が可能になる、オプションのハンドルバーリモコン SC-HR-01も用意されている。
価格は高めで16000円程度するが、操作が楽になるので興味のある方は以下の記事も参照していただきたい。

手元で音質/距離チェック


とりあえず1対1での接続でチェックしてみた。

全体的な音質


SENA SMH10はかなり音質が悪いと不評で、SENA 20Sは少し改善したのか音質が悪いとまでは感じない。
低音重視のドンシャリスピーカーでズンドン強烈に低音を響かせられる反面、高音が破綻しやすく耳が疲れやすい。
個人的にはドンシャリは好きなんだけど、もう少し高音が割れずに出るようになればいいのになぁと思う。


SENA 20S同士の通話


木造2階建ての自宅の1Fと2Fで通話をしてみたがさすがにこの程度であれば全くノイズは乗らない。
音質もクリアで双方の会話は快適そのもの。
マイクの感度も良い。


ミュージックシェアリング(音楽を転送する機能)


スマホと20SをA2DPで接続し、20S同士をA2DPで転送しているのだと思われるため、ステレオで非常に高音質だ。
障害物が全くなければ20m程度は問題なく、30mくらいで半分くらいがブチブチと切れる状態になる。
1台でも車が間に入るとどんなに距離が近くてもブチブチ切れて聴けない。
ただし、これはA2DPのみの話で、同時にしているインカム通話に影響はない。

原付2台でゆっくりと近くを走るくらいなら利用できなくは無いが、もともとタンデム向けの機能なので当然か。


Bluetoothの仕組み上仕方ないことではあるが0.2秒くらいのラグがあるので、A2DPの転送で0.2秒の上にインカム通話で0.2秒のずれが発生し、二人で一緒に歌うと相当なずれが出てやばいことになるw
もし二人で歌いながら走りたい場合は、音源を二つに分岐してBluetoothで飛ばすような機器(B+comデュアルオーディオトランスミッター)か、単純にオーディオ分岐してトランスミッターを二つ接続するか、2台同時接続が可能なスマホ(あるのか?)を利用したほうが幾分ましだろう。


オーディオマルチタスク時(インカム通話+音楽 or FMラジオ)


非常に安定しており、音質の劣化は全く無い。
インカム通話とA2DP又はラジオの二つを起動することでノイズが増えることもなく、それぞれが全く別物として動いているようだ。


FMラジオ


PCに囲まれた環境ではあるが感度は非常によく、一通りのラジオを快適に聴くことができた。
選局もオートでばっちり。
実際に走行してみてもすごく快適。
車ほどではないけどそれに近いくらいのラジオは聞ける。


スマホ経由で通話するRideConnected


別途以下の記事を参照していただきたい。
裏技的に他社インカムでも使うこともできるので、一読しておくと何かと役に立つかもしれない。

4台チェーン接続して動画をとってみた


おそばせながらSENA 10Sを含めた4台チェーン接続でツーリングをしてきた。
主な設定は以下の通り

20S
ファーム:1.6.3
HDインターコムオン
8方向オフ

10S
ファーム:1.2
HDインターコムオン

HDインターコムは1対1の時に効力がありチェーン接続をすると自動的に無効化されるとマニュアルに記載があり、FAQにはチェーン接続時にはオフを推奨している。
今回はマニュアルにそってオンでもOK!という認識のもとオンにしたが、SENAに問い合わせたところオフにすることを推奨と正式に回答をいただいた。
それでも安定性は良かったのでオフにしたらもっと良くなるかも?

尚、条件によってオンやらオフやらにするといいんだけど、わかりにくかったので以下の通りまとめる。

■条件
・HDインターコム対応機種同士で近距離(タンデム)で2台接続の場合のみ双方のHDインターコムをオンにする。
・20Sのみで構成した5台以上のチェーン接続時のみ8方向インターコムをオンにする。
・上記以外の条件では全て、HDインターコムと8方向インターコムはオフにする。

■接続環境例
接続2台(タンデム)    接続機種20S, 10S, 10U, 10C  =HDインターコムオン 8wayオフ
接続2台(タンデム)    接続機種上記以外        =HDインターコムオフ 8wayオフ
接続2~4台(バイク複数) 接続機種他社含め全て     =HDインターコムオフ 8wayオフ
接続5台以上(バイク複数) 接続機種20Sのみ        =HDインターコムオフ 8wayオン


いろいろ面倒だから、基本はどっちもオフにしておけばOK!!


接続状況


10S------20S------20S------10S
T先輩  K先輩  まさきち  M君
交通量が非常に多く大半が市街地という悪条件と、静かな山の中を走行した動画は以下の通り。
切断された時の状況をお伝えするために切断時の動画を入れているが、一日走ってこういったことは1回程度で、非常に安定しているので安心してほしい。

■音質
風切り音やエンジン音はしっかりとノイズリダクションで排除されており、マイクに風が直接当たらなければ非常に快適。
トンネル内での反響音も軽減されている。
電子ノイズはやや多めではあるが気にならないレベル。

人の声はクリアな音声だけど高音が強く、ちょっと耳が疲れるかな?
これは音楽を聴いた時も同じでスピーカーの限界と思う。


■安定性
一発で接続OK、切断は1回だけ山中を走行中にあったけど再接続はあまり手がかからない。
一応先頭から順番に接続することが推奨されているけど、間が切れた場合は2対2の状態からでも接続ができた。
ただし、接続した時に呼び出し音や接続音が鳴らないのは不便。
接続されたのかされてないのか判断しにくい。


■通話距離
市街地で間に車が多数入って全く見えない悪条件で、200m離れても「信号でとまった」「その前で待ってる」というのを伝えるのが精一杯なレベルながら、ギリギリ通話は可能だった。
しかも接続順序的にジグザグに二つに分断されたので、総距離は600m離れていたことになる。
この通話距離はB+comをはるかに上回っている。

逆に比較的車が少なく見通しが良ければ300mくらいでもほとんどノイズは入らない。
北海道とかなら見通し1000mはいけそうだ。


■オーディオマルチタスク
20Sの2台ともスマホと接続して音楽を流すとノイズがひどかったので、1台だけにすると音質が良くなった。
1台だけであればすこぶる快適。
2台とも接続するのは1度しか試してないので、何度かやり直せば直りそうな感じ。
ちょっと癖があるかも?



SENA 20Sの評価


安定性、通話距離は抜群で動作も快適。
2014年発売ながら、未だに最高レベルの性能で息の長いモデル。
2017年は自動経路制御を搭載した次世代モデルが登場する転換期だが、もともとの性能が高かったので次世代機とも勝負できてしまう。

強いてイマイチな点をあげると、
・耳が疲れやすい
・オーディオマルチタスクが少し不安定
・接続音がわかりにくい
・大きくて重い
・ベースの取り付けがしにくい

という程度でいずれもクリティカルな問題では無い。

ここまで完成度をあげたにも関わらずまだまだファームアップされるその姿勢は素晴らしい。
不具合らしい不具合は既に存在せず、熟成の域に達しているので安定を重視する人におすすめ。

10点満点評価
音楽の音質・・・・・・・・・5
インカム通話音質・・・・・・6
通話距離・・・・・・・・・・9
安定性・・・・・・・・・・・9
操作性・・・・・・・・・・・8
機能/拡張性・・・・・・・・7
取り付けやすさ・・・・・・・4
重さ・・・・・・・・・・・・3
コストパフォーマンス・・・・6
おすすめ度・・・・・・・8!

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