バイク用ドラレコにしては珍しい、駐車監視機能を搭載したLANCERTECHブランドのローエンド製品LT-300Wをレビューする。
LT-300Wの概要
・本体とカメラが分離
・2カメラで前後同時撮影
・ドラレコモード有り
・本体、カメラともに高い防水性能
・HDR搭載(明暗補正)
・FullHD 27.5fpsで撮影可(リアは720p)
・東日本、西日本のLED信号機対応
・Gセンサーによる動画ロック機能有り
・駐車監視機能あり
・ファイル間ギャップ対策済み
・WiFi対応 スマホから操作可
・実売価格 1.3万円程度
GPSと有線リモコンがなくリアが720pと最低限だが、駐車監視という珍しい機能を備えている。27.5fpsで撮影可能=東西日本のLED信号機対応をうたっていることについては、実際にテストすると25fpsで撮影されており、東日本のLED信号機と同期してしまうことを確認した。販売店へは記載を修正するよう依頼している。
価格が少し高くなるがAKY-868GやP6Fと悩むところなので、他社製品との比較も重視しながらチェックしていく。
2019年6月現在、LT-300Wは品切れで同等製品のAKY-300Wが販売されている。
本体、付属品確認
本体、前後カメラと延長ケーブル、車体用電源ケーブル、本体設置用マウント、16GB MircoSDで構成されている。
本体は防水仕様とは思えないくらい防水っぽさの無い本体。一応IP67対応なので問題はないと思うが少々心配だ。サイズはやや大きめ。プラスチックのためかとても軽量。
右側にボタンが配置されている。ストロークが浅いので押しにくいが許容範囲。
底面の防水キャップを外すとMicroSDカードスロットと、ファームアップ用と思われるMiniUSB端子。右側にカメラマウントと同じインチネジ穴がある。
マウントキットを取り付けるとかなりの高さだ。このマウントはバーハンドル用なのでセパハンの場合は別途取り付けの方法を考えなければならない。ただ本体側がインチネジのためカメラ用の雲台を適当に見繕って取り付けよう。
撮影状態を確認できるリモコンがなく、本体は防水仕様なのでハンドル回りに取り付けたほうが何かと便利だろう。
カメラは前後で異なっており、青がフロント用、黄色がリア用。カメラそのものは同じサイズでコネクターの色で判別するようになっている。
土台は薄い金属製で曲面に合わせて曲げて密着させられる。取り付けは両面テープと付属のビス。この程度の重さであれば付属の3M VHB両面テープで脱落することは無いと思う。
簡易的な作りで上下の調整はマウントの金属を曲げるだけ。回転は可能なので上向き、下向きどちらでも設置できるが、マウントが低いため上方向にはあまり上がらないので設置場所には注意が必要だ。
左の二つが前後カメラ用延長ケーブル、右が12v電源ケーブル。
延長ケーブルは使わなくても問題はないが、カメラのケーブルがあまり長くないので、延長ケーブルを使うことになる。
電源は車体からのみでUSBケーブルはない。テスト用もないので12v電源を確保しないと動作確認ができないのが難点だ。接続はACC、バッテリープラス、マイナスからの3つをとるようになっている。
設定で駐車監視や電源オフ後の撮影時間を指定できるので、おそらくバッテリープラスから一定時間電力を供給するようになっているのだろう。長期間放置するとバッテリーが消耗するかもしれないので、あまりバイクを動かさない場合は数週間に1回くらいエンジンをかけて確認したほうが良さそうだ。
本体の操作 ファーム
本体右側のボタンを押すと各種操作ができる。録画開始、終了、ビューモード切り替え(F+R、Fのみ、Rのみ等)、画面オフ等。MENUボタンを押すと各種設定ができるので、各種設定を紹介する。
各種設定
■解像度
FHD、HD
■前後同時録画
オン、オフ
■ループ録画
オフ、1分、2分、3分、5分
■間隔録画
■HDR
オン、オフ
■露出補正
■録音
オン、オフ
■日付スタンプ
オン、オフ
動画内に日時を表示させる
■Gセンサー
オフ、低、中、高
Gセンサーの感度設定のこと
センサーは本体内蔵
■スクリーンセーバー
■自動シャットダウン
■フリッカレス
50Hz、60Hz
蛍光灯のちらつきを抑える機能で、東日本は50Hz、西日本は60Hzにする。LED信号機対策とは無関係。
■ビープ音
オン、オフ
操作時の電子音
■言語
■日付/時刻
■フォーマット
■デフォルト
■バージョン
スマホアプリで本体を操作
Android、iOSの両方でアプリが用意されている。それぞれ「roadcam」で検索をすると出てくるのでインストール。
ドラレコ本体を起動してwifiを有効(設定でオンまたはリモコン長押し)にし、スマホのwifi設定から選択し、パスワード無しで接続をする。アプリを起動すれば以下のよう画面になり操作が可能だ。
左がメイン画面でカメラのプレビューと、録画開始、停止等の操作ができるようになっている。真ん中は各種設定画面。本体設定とできることは同じ。右は撮影した動画などを確認する画面。
プレビューは少しタイムラグがあるが角度調節程度であれば問題なくとても便利だ。使い方は簡単なのでとりあえず使ってみよう。
取り付け
Dio110へ取り付けた。カメラは以下の通り。
■下段
左の大きいカメラ=Necker V1 Plus
左下の小カメラ=AKY-968G
中央下の小カメラ=P6F
右下の小カメラ=M2F Pro
■上段
左上の小カメラ=LS-MX
右上の小カメラ=AKY-868G
右横の小カメラ=LT-300W
カメラの取り付けは両面テープとビス止めなのだが、両面テープが100円ショップレベルのもので粘着力不足だ。耐候性もないので最初は良かったとしても雨に濡れればいずれは粘着力が落ちて脱落しそうなので、ビス止めが可能な場所なら必ずビス止めをしよう。
穴あけできないなら3M等一流メーカーの耐候性強力両面テープを別途用意しよう。
側面に取り付け。マウント部分の高さがないので上下の調整幅が小さいが、その分小さいのでスペースの確保はしやすいと一長一短だ。今回はテストのための取り付けなのでビス止めはしてないが、ちゃんと取り付けるならビス止めしたほうが良いだろう。
左からP6F、AKY-968G、LS-MX、AKY-868G、LT-300W、M2F Proを設置。スペースの問題でリアボックス下部に両面テープで貼り付けたが、ブレやすいのでできるだけステーや車体のカウル等に貼り付けた方が良い。
左側が本製品のカメラ。BOXの表面は少しざらざらしているので両面テープでの取り付けは不向き。その上、付属の両面テープはだめだめですぐ剥がれてしまったので、3Mの耐候性両面テープで貼り付けなおし。それでもこういったざらざらした場所に貼り付けるならビス止めはしておくべきだろう。
貼り付け面積が十分確保できてつるつるした場所であれば、逆さでも両面テープのみ大丈夫。中央のAKY-868GやLS-MXは両面テープのみで半年間まったく問題ないことを確認済みだ。
本体は防水でバーハンドル取り付け用マウントも付属しているので、付属品だけで取り付けることが可能だ。ただ本体がかなり大きくケーブルも4本あるので、ハンドル回りがごちゃごちゃしてくる。鏡像なのでバックミラーとしても使えなくもないが、液晶画面が直射日光下では見えにくいので実用的ではないだろう。
動作しているかの確認くらいにしか使わないため、故障や盗難等のことを考えると可能な限りシート下に設置しておきたい。
実際の走行動画で確認
画質は全体的にかなり悪いが、価格を考えればこんなものかなと思う。特にリアは720pで鏡像のみという微妙なものになっているので、よく確認していただきたい。
注意点1 AKY-968Gの音割れ、LT-300Wフロントカメラの振動、全機種のリアカメラの振動は設置場所の問題です。振動の少ないシーンでで比較してください。
注意点2 youtubeの仕様で圧縮されているので画質が低下しています。特にP6FとM2F Proはブロックノイズが大幅に増えています。
動画のプロパティ
動画はMPEG4(MOV)でフロントが10Mbps FullHD 27.3fps、リアが8Mbps HD 27.3fpsだった。フレームレートは27.3なのだが実際の動画は25fpsのため東日本のLED信号機に対応していない。
昼の画質は最低限

明るく撮影はできているが画質はあまり良くない
全体的に画質はかなり悪い。40km/hで走行中の1コマなのだが、全体がぼやけて文字の読み取りは難しい。黒潰れは少ないものの白飛びはかなり多く、電線はほとんどが空に溶け込んで見えなくなってしまっている。

文字の読み取り性能は低い
文字の識別性能はAKY868Gよりさらに少し悪くて最も悪かった。7はかろうじて見えるが9はまったくわからない。5m以下にならなんとかナンバーを読み取れそうなくらいで、それ以上ではまず無理だろう。

リアは鏡像かつ720p
リアは他がFullHDに対してHDなので画質はさらに低下。しかも左右を反転させる鏡像設定のみという欠点もある。バックカメラのパーツを流用してそのままにしているのだろう。こういったところが最安クラスの理由だ。
夜の画質も低い

明るく撮影できてはいるが白飛びが多い
雨天でのテストとなってしまったので、雨粒がレンズについてしまい直接比較しにくいのだが、だいたいの傾向はつかめたので評価する。
昼のテストで黒潰れが少なく白飛びが多いという結果のとおり、全体的に明るく撮影されているが、その分白飛びも多いので速度規制の看板が反射して全く見えなくなっている。ナンバーも同様に白飛びで識別はほとんどできなかった。

文字は潰れてほとんど読み取れない
「あなたに答えを。」というスローガンで他機種なら読み取れるが、LT-300WはAKY-968Gと並んでほぼ読み取れない。文字の読み取り性能は最低クラスになる。
駐車監視システムの動作確認
バイク用ドラレコにしては珍しく、駐車中に振動を検知すると自動的に30秒間録画をする機能を有する。車では車上荒らし対策として有効だけど、バイクの場合はどれくらい有効なのだろうか。
録画を開始すると小さめながら起動音がするので、セキュリティー機能があると思って窃盗を諦める可能性はある。気休め程度の機能だが無いよりはあったほうがいくらか安心だろう。
車体から常時少量の電源をとっているため、長期間放置する場合はバッテリー上がりに気をつけた方が良い。設定でオフにすることもできるので、バッテリーが心配な人はオフにしておこう。
音質は普通
こもり気味ではあるがマイクの感度はちょうど良く、それなりの音質で録音できている。2~3mの範囲内なら事故後の会話も録音できそうなくらいなので、もし事故後の会話を残したいならできるだけバイクに近づいておいたほうが良さそうだ。
LED信号機対応状況確認
先に紹介した通り、スペック上は27.5fpsにも関わらず東日本のLED信号機に同期してしまい、映らない時間が発生してしまった。おそらくもともと25fpsのものをファイルに残す時にだけ27.5fpsにしているのだろう。
こういった偽りは大変残念だ。代理店へ修正するよう依頼をしている。
ファイル間ギャップ対策
カメラの動画撮影ではファイルとファイルの間に数フレーム、0.2秒程度の空白の時間が発生してしまう場合があるが、ドラレコではできる限り空白時間を0にしたい。本製品を確認したところギャップはほぼ0であることを確認したので安心できる。
総合評価
安いだけあって画質はそれなり、リアカメラは鏡像のみ、GPSとリモコン無しと機能面では最低限だ。また東西日本LED信号機対応をうたっているにも関わらず、実質25fpsで東日本LED信号機には対応していない。こういった適当な販売方法は中国製品にはよくあることではあるがいただけない。
唯一、駐車監視というバイク用ドラレコにしてはとても珍しい機能を備えている点が本製品の魅力だ。車体ごと盗まれたら意味は無いけど、パーツ取りやいたずらをされるような場合は、画像を証拠として残すことができるかもしれないので、そういった窃盗団ではない相手に対しては有効だろう。
もう少し価格を出せばAKY-868GやP6Fが購入できるので普通に走る分にはそちらのほうが優れているが、駐車監視もしたいという人にはLT-300Wがおすすめだ。
10点満点評価
昼の画質・・・・・・・・・・2
夜の画質・・・・・・・・・・3
ナンバー読み取り性能・・・・3
画角・・・・・・・・・・・・7
音質・・・・・・・・・・・・5
安定性・・・・・・・・・・・未
取り付け・・・・・・・・・・6
機能性・・・・・・・・・・・5
コストパフォーマンス・・・・5
おすすめ度・・・・・・・5!
2019年6月現在、LT-300Wは品切れで同等製品のAKY-300Wが販売されている。
ドライブレコーダーの総合記事はこちらです。主要製品を比較、レビューしています。 [card url=https://bikede-go.com/blog-entry-184.html]
コメント
初めまして。
ブログ拝見しています。
先日メルカリで機種不明、マニュアル無し中古品を購入し、取付をしました。
対応アプリ等を知りたく調べていたところ まさきちさんのブログにたどり着きました。
購入したドラレコがLANCERTECH LT-300Wと判明、アプリも分かり助かりました。
使用感等はブログの通りで間違いないですね。
フロントカメラが私のだとかなり波打っていますが取付金具が原因かもしれません。
アドレスV125に装着したのでバッテリー容量が心配で駐車監視は切っています。
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